大座法師池(だいざほうしいけ)は、その名前を大男「だいだらぼっち」にちなんでいます。
むかし、飯縄山は善光寺平をはるかに見下ろす北の空にそびえていました。ある日、飯縄山は西にそびえる山々に、ひどくいばって呼びかけました。「おーい、戸隠やぁい、黒姫やぁい。お前たちにゃぁ善光寺平は見えまいよ。」戸隠山も黒姫山もしょんぼり答えました。「おら達にはいっこう見えね。」飯縄山は得意です。「ふふん、善光寺平は広いわい。西にゃ犀川、東にゃ千曲川。原っぱにゃ鹿や兎が飛び回り、沼には河童が遊んどる。松の木の上じゃ天狗どんが大笑いじゃ。この広い世の中、知っとるのはおらだけさ。」その時、空から大きな笑い声が聞こえて来たかと思うと、でっかいひげ面が雲の間からにゅっと現れました。あちこちの国を歩き回っている大男、だいだらぼっちです。「飯縄山よ、そんなにいばるな。善光寺平なんぞ、この国のほんの一面さ。ほれ見るがいい。」と言うが早いか、太い足をずんと踏ん張って、雲から手を突き出し、飯縄山を持ち上げようとし始めました。「た、助けて〜!」ぶるぶる震える飯縄山を見て、戸隠山と黒姫山がだいだらぼっちを一生懸命とりなします。だいだらぼっちは笑って、飯縄山にかけていた手を放しましたが、踏ん張っていた足がふもとにめりこんで、だいだらぼっちの大きな足跡が残ってしまいました。
それが「大座法師池(だいざほうしいけ)」で、今も大きな足の形をしています。